『くずもち系男子とショッピングデート♥』

くずもち系男子とは?
頼りがいのあるお兄ちゃん系男子。無口でちょっとミステリアス。
(Starring:黒崎澪音)
ホワイトデー当日。
駅前でショッピングをすることになったのだが……。
「今日は付き合ってくれてありがとな。妹の誕生日プレゼント、良いの買えそう」
デートの目的が妹への誕生日プレゼント選びだったのだ。
あー、やっぱり先輩は何考えてるのかよくわかんないなぁ。
そこがミステリアスで魅力的なんだけど……。
もしかして私も妹みたいに思われてる!?
はぁ~、やっぱ脈なしかな。
でも、せっかく先輩が誘ってくれたんだから楽しまなきゃ。
「これ、どうですか?」
「うん、いいと思う。やっぱり女の子に選んで貰うのがいいな。俺オシャレとかよく分かんなくて……」
「いやいやいや、先輩の方がぜんっぜんオシャレですよ!?」
先輩はモデルもしていて、スタイルも抜群だし、顔もすごく整っていて、私より肌も断然キレイだ。
「そんな事ないよ。やっぱお前センスいいわ。ありがとな」
そういって先輩は私の頭にポンっと手をと乗せた。
「……っ!?」
ニコッと笑う先輩に胸が高鳴る。
「これ買ってくるから、ちょっと待ってて」
そういうと先輩はレジへと向かった。触られたところが熱い……。
どうしよう。私やっぱり先輩が好き。
妹じゃ足りないよ。
「お待たせ。もう遅いし帰ろっか。送ってくよ」
「……はい」
帰る道すがら、私は少し悲しくなって言葉が出てこなかった。
どうしよう。せっかくの先輩との時間が終わっちゃう。
「どうした?」
「い、いえ。ただ……先輩とのデートが終わっちゃうな……って思っ……」
あれ? なんで涙が出てくるの?
先輩への思いがこみ上げて、堪え切れずポロポロと涙が落ちる。
止まれ止まれと心の中で叫んでいると目の前に先輩のキラキラした顔が……。
顔近い!!
キラキラしているのは、涙で光ってるわけじゃない。
先輩のお肌ぷるぷるだな。やっぱりキレイ……。
「泣かせるつもりなかったんだけどな。はい、これ」
「……え?」
「お前、さっき可愛いって言ってたろ? バレンタインのお返し。それと――」
プレゼントを渡されて戸惑っている私の手を取り、先輩が私をジッと見つめる。
「……っ」
混乱した私を優しく引き寄せると、そのまま私の口を塞いだ。
「……泣き止んだ?」
「……はい。私、先輩の妹じゃないですよ?」
「妹だと思ったこと、一度もないから。こんなドキドキするやつ、お前しかいない」
先輩が大人っぽいのは当たり前。
私ももっと頑張って先輩に釣り合うようになりたい……!
キレイにならなきゃ!
ミステリアスな男子のキスは、私に勇気を与えてくれた。